年齢とともに時間が短く感じるのはなぜだろうか?(寺報編集委員より)

年齢を重ねるにつれて、「時間が過ぎるのが早く感じるね」と挨拶代わりに話題になることが多い。気に留めるわけではないが、何か要因があるのだろうかとふと思う。人生の登り坂と下り坂での気の持ち方の違いによるものなのか、日々の生きがいや忙しさと関係があるのだろうかなどと思ってはみるものの、よくわからない。調べてみたところ、幾つかの説があった。

脳は「時間」をどう処理しているのか

その中の一説は、最近の研究に基づく解析の結果である。英バーミンガム大学らの研究チームは、映像を見ているときの脳活動を解析し、加齢に伴い、脳が出来事を細かく区切らず、より大きな流れとしてまとめて処理するようになっていることを発見した。これが同じ時間でも、若い時と高齢時で、記憶の時間感覚が大きく異なる原因になっているという。

私たちは、世界を連続的に体験していると思いがちだが、実際には脳は出来事のまとまりとして時間を区切って処理している。映画の場面の切り替わりに合わせて、「今の出来事が終わり、新しい出来事が始まった」と判断して処理しているのだ。

解析の結果、若い人ほど脳は出来事を細かく区切って処理しており、年齢が上がるにつれて、一つの出来事をより長くまとめて捉える傾向があることがわかってきた。つまり、年齢を重ねると脳は時間をより大きなまとまりとして整理し、一つの流れのなかに統合して理解するようになる。

「時間の流れが速く感じる」感覚の正体

同じ一日を過ごしても、若い頃は脳の中で多くの“区切り”が作られている。しかし、歳をとるとその切り替えが減るため、後から振り返ると「今日はあっという間だった」と感じやすくなるようだ。こうした変化は、単なる衰えとは限らない。長年の経験を積んだ脳が、細部よりも全体の流れをまとめて理解する方向へと「効率化」されたとも表現できる。「年を取ると時間が早く感じる」感覚は、脳の時間処理の変化として説明できるのだ。

もう一つの有名な説に「ジャネの法則」がある。生涯のある時期における時間の心理的長さは、年齢に反比例するという考え方だ。例えば、60歳にとっての1年は人生の60分の1だが、6歳にとっては6分の1であるため、歳をとるほど1年が短く感じるというものだ。なるほどと理解しやすいが、科学的な検証が乏しく、心理学者からはあまり支持されていない、とあった。

普段の何気ない会話の疑問について調べてみたが、年齢と感じる時間の長さの要因について、皆様の諸説や如何に!