2024年 あけましておめでとうございます

タツノオトシゴ。西念寺寺報編集委員のYさんが大洗水族館で撮影

昨年はロシアのウクライナへの侵攻が終わらないなかで、パレスチナとイスラエルの激しい衝突が起こりました。

ニュースを見ていると、爆撃を受けて負傷した人々や、子ども達の泣き叫ぶ映像が毎日のように流れてきます。

11月下旬には人質の解放のために数日間の停戦がありました。このまま争いが終わってくれればという多くの人の願いもむなしく衝突が再開され、すぐに解放された人質よりも多くの命が失われました。今回の衝突に限りませんが、立場によって命の重みが変わる状態は、正常ではありません。

イスラエル側は自分たちの安全を脅かす組織を壊滅させるまで攻撃をやめるつもりはないと宣言して攻撃を続けています。そのなかで一般の住民が巻き込まれて命を落としてもやむを得ないという考えのようです。どんな命も尊いということが覆されるのが武力衝突です。

もし、抵抗する組織が壊滅したら、平和になるのでしょうか。たとえ武力の衝突が起こらなくなったとしても、衝突の中で命を脅かされた人々の中に、反発や恨みの気持ちが残り、その思いが引き継がれてしまうのではないでしょうか。そのような思いが残っている状態は平和だとは言えません。

時間を超えて伝えられるのは、恨みではなく、人間がより良く生きるための智慧であって欲しいと思います。

私たちは心の奥では理解し合うこと、助け合うことを求めています。その一方で、立場や考えが異なると尊重し合えなくなったり、自分(達)を優先してしまいがちになってしまうのも私たちです。

さて、日本漢字能力検定協会によると、2023年の世相を表す漢字に選ばれたのは『税』でした。本来『税』は互いに助け合うためにあり、そのためのルールであるはずですが、そのルールを作っている人たちによるルール違反が報道されているところに問題の根深さを感じます。

誰もが互いに尊重し助けあえる世界にしていくためには何が大切なのでしょうか。私の姿を照らし出す仏教の教えをとおして一緒に考えてみませんか。今の世界を引き継ぐ私たちの後に生まれてくる人たちのためにも。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。(住職)